フィランスロピー研究所 今月のありがとう
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2013年5月のありがとう
イメージ画像 時代を開く3つのPIと限りなき連携へ
〜 出でよ カリスマ 〜

ご隠居と寅さんの会話から、私たちの課題を考えてみたい。

ご隠居「
寅さん、今日はサムスンの3つのPIについて語るよ!
新しい時代の為に、いつもイノベーションが必要なんだよ。
当たり前だが、社会もお客様も。
お前さんも、めっきり年を取ってきているようだし。
いろいろ変化をしているからなぁ」
寅さん「
ほぉ〜、とすると3つのPIのIはイノベーションを指すんでしょう」
ご隠居「
おー!冴えているね。
じゃPは何だね」
寅さん「
一つは、個人 Person
二つは、もの Product
三つは、プロセス Process
でどうでしょう」
ご隠居「
いいね。
寅さんはハーバードのMBAかい?」
寅さん「
ご隠居、からかっちゃいけませんぜ。
私はね、天プラ学生でどこにも就職できなくて、売れない企業小説をやってるんですから。
でも、この辺りは常識ですよ!」
ご隠居「
いや、恐れ入りました。
そいじゃ今日は寅さんのご高説を受け賜ろうではありませんか」
寅さん「
たぶんこの3PIは、サムスンの李健熙会長が言いだしたものですよ。
1993年頃から、グローバル競争にむけて打ちだした方針ですよ。
この3PIは、
PI ⇒ パーソナル・イノベーションで人の意識を変え
PI ⇒ プロダクト・イノベーションで革新的製品を創造し
PI ⇒ プロセス・イノベーションで全プロセスを革新する
に取り組んだんですよ。
そして機能超過でコストも高いガラパゴス日本の製品に比べ、ローコストで新興国マーケットの求めるグレードを安く提供して、ほぼ一人勝ちの構造を作ったのがこの3PIですよ。
人の意識を変えるのに、組織文化まで変えてしまって恐ろしいですよ。
そして製品づくりも競争力ある製品開発にのみ力を注ぎこみ、振興市場の手つかずマーケットの消費者満足を低価格において、一人勝ち製品を産み出したんですよ。
そしてそれら製品をつくる工程をすべて見直し、超高効率プロセスイ・ノベーションを成し遂げたんですよ。
3PIで、もうサムスンに向かう敵なしという感じです」
ご隠居「
さすが企業小説家だ。よく勉強しているね。
『李健熙カリスマの戦略』でも出して貰いたいね。
で、寅さん、最近のサムスンはどうだい?」
寅さん「
いや、最近は雑誌にいくつかコラムを持ったりして、フォローしてないですよ」
ご隠居「
そうかい。
それじゃ3PIの次、2009年改革に触れてみようか」
寅さん「
あんな成功しているのに、まだ改革ですかい!」
ご隠居「
そうなんだよ。
これから始まる本格競争のためのことを、ラディカルにやりだしたんだよ。
90年代の新経営3PIの成功で今のサムスンを作ったのだが、2000年代の新しい時代の為に、創造経営を2009年から始めたんだよ」
寅さん「
それじゃまた人のリストラでも打ちだしたんですかい」
ご隠居「
まずね、グループ幹部の2/3を入れ替える大組織改革をしたんだよ。
そして今度は、3つの『化』がキーワード。
この『3つの化』はどうだい」
寅さん「
そりゃ!
国際化、情報化、カリスマ化 じゃないですか」
ご隠居「
二つ目まで正解だが、三つ目は『複合化』。
つまりこの三つで企業の組み直しを始めているんだよ。
そこで人の配置にしても、ソフト分野に二万人もつけているんだよ。
日本じゃ1,000人だって大世帯なのに。
どんどんソフトを充実させ、国際化、情報化、複合化を進めているんだよ。
それに投資も凄いよ。
これから成長すると考えるリチウムイオン電池に、三兆円もの投資をしているんだよ。
日本はせいぜい1,000億規模なのに…」
寅さん「
これじゃ次の市場もサムスンにやられるんですかい」
ご隠居「
そうだね!
日本企業の今の政策、考え方ではもう駄目だね。
寅さんの言った『カリスマ化』は、日本にこそ必要ってとこかなぁ。
後追いかもしれないけど、日本でももう一度本格的な3PIと、私の説く限りない連携の促進が必要だよ」
寅さん「
『限りない連携』って、ご隠居、どんなもんですかい!」
ご隠居「
それは次にでも吹きまくろうかい」

井上 健雄

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