海外情報


 Ecology:地球温暖化・・・
 このたび欧州を襲った大洪水は、死者100人、避難者30万人、被害総額数兆円という大惨事になった。世界各地で大雨や旱魃といった異常気象が発生し、地球温暖化の関連を指摘する声もあがっている。ヨハネスブルクサミット(WSSD)を目前に控え、地球に異変が進行している現実を改めて実感させられるようだ。

  WSSDは、世界の首脳が21世紀の環境と開発について政治的決意を表明するという、本年最大規模かつ最重要の国際会議と位置付けられている。資源や食料など海外に多くを依存し、地球環境に負荷をかけている一国である日本にとっても、持続可能な開発の実現に向けてどのような具体的な貢献ができるかが問われる重要な会議といえる。しかし、最大の経済大国かつエネルギー消費大国である米国大統領の欠席、事前交渉では先進国に貧困対策への責任を求める途上国と、腐敗のない民主的制度などgood governanceを要求する先進国との対立から、多くの点で合意に至らず、どれだけの成果が得られるか危惧されている。
 
  若干の明るいニュースもある。先日、地球環境ファシリティ(GEF)の第3次補充協定に32カ国が合意し2002-06年期に、29億2000万ドル(3650億円)を補充することとなった。GEFは世界銀行、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)が共同で設立し、その任務は地球環境問題に対処する上で途上国に発生する追加的コストを資金援助することである。第1次(94-98年期)の20億ドル、第2次(98-02年期)27.5億ドルに移行してきた中、最高額である。

  とはいえ、国際的な環境機関が総じて財源に苦しんでいることに変わりはない。UNEPは1億ドルの年間予算を維持するのに苦心しているという。ちなみに、米国環境保護局の2000年の予算は78億ドル、米国の軍事予算は3000億ドル以上、世界の軍事支出は7500億ドルを超えているという。持続可能な開発の為の財源をいかに生みだし、平和や環境安定のような「地球公共財」の費用をいかなる手段でまかなうか。依然大きな課題である。

<参考>
・ワールドウォッチ研究所『地球白書2002-03』



 Well-Being:世界の介護福祉・・・
  日本は世界長寿一の国として、また高速に高齢化率が高まっている国としても有名であるが、海外の福祉先進国と言われる国々に学ぶことが多い。クオーレ創刊号では、特に代表的な仕組みとして、アメリカとスウェーデンの現状を纏めている。

◆ アメリカ ◆(人口2億7556万人、高齢化率12.64%)
 社会風土として自立自助という考え方が強く、公的な介護保障制度といえるものはない。民間部門によりサービスが提供されているのが特徴。ナーシング・ホーム(老人ホーム)の提供主体などは、民間が90%以上を占め、そのうち7割以上が営利団体によって経営されている。また、NPO、ボランティアの果たす役割も大きい。社会保障制度としては、高齢者・障害者を対象とした公的医療保険制度(メディケア)や、低所得者を対象とする公的医療扶助制度(メディケイド)等があり、一部の介護サービスも扱っている。

◆ スウェーデン ◆(人口886万人、高齢化率17.3%)
 介護サービスは、コミューン(日本の市町村に相当する自治体)が主体的に運営し、財源のほとんどを自主課税によって賄っている点が最大の特徴。日本の介護保険制度も運営主体の面ではきわめて似通った方式をとっている。サービス利用対象は、自分で自分のニーズを満たせない高齢者(社会サービス法)とされ、コミューン内の委員会が利用者の申請をうけ、審査し、サービス給付を決定して、自らまたは事業者への委託によってサービスを提供する。また、施設医療や訪問看護はランスティング(広域自治体)が主に供給主体となる。

<参照> 
・World Sites Atlas:人口、高齢化率は2000年の統計
・現代用語辞典2001



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