海外情報


日本でも「PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理改善の促進に関する法律)」(注1)が施行にされ、平成14年4月1日から排出量等の届出を行うことにより、企業にどのような化学物質をどれだけ使用しているかを明確に把握するよう義務付けています。

これまでにも電気機器や自動車メーカーなどは、自ら、或いは仕入先業者などに対し化学物質の使用を制限していますが、今後の国内外の法規制の強化は、このような企業の取り組みを一層促進させると思われます。今回の「海外情報」では、特に欧州に焦点をあて、法規制強化の動きを紹介します。 


1.ELV指令(End-of-Life Vehicle)


【目的】 使用済車両からの廃棄物の低減、及び適正な処理の促進。
【制定】 平成12年9月に、欧州理事会、及び欧州議会での採択を経て成立。
【現状/展開】 EUの各加盟国、平成14年までに国内での法制化。
【概要】 平成15年7月1日以降に販売される車両に適用され、対象物質となっている鉛、水銀、カドミ、6価クロムが原則として使用が禁止。

 ※ここでの車両とは、乗用車、積載3.5トン未満の商用車で、2輪車は除外。



 2.RoHS指令(Restriction on Hazardous Substances) −電気・電子機器類の有害物質の規制に関する指令

【目的】 WEEE指令(電気電子機器製造者の廃棄物に関連した製造物責任を強化)(注2)にあたり、分別回収、リサイクルされた、電気・電子機器製品に含まれる水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)及びPBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)が健康、環境に与えるリスクを無くす。
【制定】 2003年2月13日に正式発効
【現状/展開】 加盟国は指令発効(2002年2月13日)から18ヶ月以内(2004年8月13日まで)に国内法令化。 
【概要】 2006年7月1日以降、原則使用禁止指令が適用されるのは特定の製品ではなく、以下の網掛け以外の種類の製品全般に対して。カテゴリー#8および#9については現状では、RoHS指令の適用外、2005年2月13日に再レビューされる。

対象種類 具体例
1 大型家庭用電気器具 冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン等
2 小型家庭用電気器具 電気掃除機、アイロン、ヘアドライヤー、トースター、時計等
3 ITおよび通信機器 パソコン、プリンター、コピー機、電話機等
4 民生用機器 ラジオ、テレビ、Hifi機器、楽器等
5 照明器具 蛍光灯、ナトリウムスチーム電球(低エネルギー電球と通常の電球は除く)
6 電気・電子工具 電気ドリル、旋盤、フライス盤、研磨盤、芝刈機等
7 玩具、レジャー用機器 ビデオゲーム機、スロットマシン
8 医療用具 透析装置、放射線療法機器、心電図測定器、人工呼吸器等(感染およびインプラント除く)
9 監視・制御装置 火災探知機、サーモスタット、工場設置の監視測定機器等
10 自動販売機

注1:

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理改善の促進に関する法律 2001
年4月施行(PRTR=Pollutant Release and Transfer Register の略称。)
有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排
出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを
把握し、集計し、公表する仕組み。
該当事業者は、平成13年4月から、化学物質の排出量などを把握開始し、平成14年4
月から、第1回目の排出量などの届出開始。平成15年3月には、環境省及び経済産業省は第1回目の集計結果の公表実施。

注2:

 WEEE指令 WEEE: Waste Electrical and Electronic Equipment -電気・電子機器類の廃棄物に関する欧州指令 とは・・・

使用済みとなった電気・電子製品の回収、リサイクルをメーカーに義務付ける指令で、日本よりさらに幅広い廃家電をリサイクル対象としている。

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