エコロジー研究会
NPO法人ええことネットの活動について
NPO法人ええことネット理事長 畑田 豊 氏 
エコロジー研究会(H18.7.21)より


 ご紹介頂きました「ええことネット」の畑田で御座います。今日は井上理事長のお招きで初参加させて頂きました。
 タイトルが「活動報告」とありますが、気楽なおしゃべりで体験談をご紹介し、活動報告に代えようと思います。
 「ええことネット」は、ネーミング通り「身近で出来る良いこと、世のため、人の為になることなら何でも進んでやろう」そんな思いの同士の集まりであります。
 大阪近郊と奈良の「ケナフの会」が母体になりました。5〜10人の小グループで、ささやかな市民運動の延長線上にあり、当初は会員の住む町で、あるいは地域で個々にボランティア活動を展開していました。もう7〜8年にもなります。
 そして此れを一つにまとめ、「ええことネット」としてNPO法人の認可をされましたのは、一昨年の年末でありました。

 今年春、奈良ケナフの会のご好意で、奈良市の山村町と法華寺町の1500uの畑で「ケナフ」の種まきをし、順調に育っています。現在は50cmから1m前後。水遣りが大変です。
 ケナフは一名「ホワイトハイビスカス」とも云われ、白黄色の花びら、花芯は臙脂がかった深紅色の美しい花を咲かせ、朝顔のように半日でしぼみます。儚く美しい花です。
 ケナフはCO2を吸収して大量の酸素を排出致します。樹皮は製紙原料となりますが、長繊維で極めて強靭です。「紙すき教室」を開催して、体験学習の一助になっています。
 皮を剥いだ茎は炭にして、水質の浄化、消臭剤などにも使用されます。軽くて丈夫なので、ステッキに加工して老人ホームなどに贈られています。
 葉はてんぷら、おひたし、炊き込みご飯、乾燥して粉末をクッキーに添加するなど、食品に使用します。ビタミンCを多く含有しています。
 他にも手作り石鹸に混入したり、草木染の材料にしたりと、捨てるところがありません。
 毎年催される「中之島祭り」に参加していますが、「紙すき体験コーナー」は子供達に人気のコーナーの一つです。皆様も来年は是非ご来場下さい。
 また5月に住吉、6月に平野で「食の安全セミナー」を開催しました。「住吉ケナフの会」では、すでに5回開催しています。大阪市の環境局、井上理事長や有識者をお招きして、講演とケナフを使ったクッキングスクールの開催なども行っています。好評に応えて今後も継続の予定です。

 私たちはこのほかに「ホタルの養殖と飼育」をしています。
 ご承知のようにホタルは良い環境、とりわけ良い水がなければ生まれず、育ちません。一般的には山地の渓流に生息していますが、現在ではホタルの棲める環境は田舎や山地でも限られているようです。
 3年前に大逸れたことを考え付きました。大阪市内でホタルを飛ばせないだろうか?
 以前はホテルや有名料亭などでホタルの鑑賞会が開催されていましたが、現在はありません。鑑賞に供された後、ホタルは数日で死滅する運命にあって、動物愛護の見地から廃止されました。
 ホタルにとって一生一度の恋。互いに愛の光を点して、子孫を残す役目を終えた雄は間もなく死にます。雌は産卵のためにさらに数日間生息しますが、やがて死にます。折角産卵しても、水環境が悪いと孵化出来ずに絶滅致します。
 そこで「ええことネット」で、その飼育に着手しました。
 四天王寺境内の奥に「極楽浄土の庭」があり、2本の小川が流れています。そこに棲みつくメダカやヨシノボリを発見し、この清流ならホタルが棲みつくのでは?と四天王寺にご相談し、ホタルを飼育する許可が出ました。
 ホタルの住は確保できたので、次は食ですが、ホタルはカワニナしか食べませんので、カワニナ採りからスタートしました。生活用水が流れず、汚れていない水とカワニナを探しました。大阪近辺では条件が充たせず、奈良県吉野へ、滋賀県の永源寺水系へと出かけました。
 採取したカワニナを四天王寺の小川に放流したところ、定着して増殖しました。ところがスッポンに食べられていたことが分りました。スッポン4匹を捕獲しました。
 同時に有志の自宅でもカワニナの飼育を始めて増殖させています。この3連休にも早朝からカワニナの採取に出かけ、半日掛りで600匹くらい採取できました。(目下順調)
 昨年6月17日、極楽浄土の庭に約400匹のホタルを放ちました。さらに庭の小川に600匹の幼虫を放流しました。また、清風、浪速、教育大天王寺、四天王寺の4高校に協力を依頼して、蛍の幼虫各200匹を飼育して頂き、4月に各高校で育った幼虫80匹を放流しました。
 ホタルの幼虫は水陸両性で、やがて土に潜り、蛹に成長し、梅雨前後の夜に羽化します。6月、ホタルの発生のニュースを聞いてからは毎晩のように偵察に出かけました。
 ここで生れたホタルの初見は6月13日の夜でした。私たちが放流した幼虫が立派に生れて飛んだのです。凄い感動の一瞬でした。胸が熱くなって涙がこぼれました。
 20日、関係者70名を招いて鑑賞会を催しました。和歌山で捕獲した300匹のホタルも放ちました。見事な乱舞でした。28日まで飛んでいたのが確認されています。
 捕獲して放ったホタルは23〜25日で居なくなった筈。とすれば、昨年放流して生れた幼虫が育ったか、今年4月に放流した蛹が次々と羽化して飛んでいたことになります。
 私たちの夢は叶い、限りなく広がりました。3〜5年後には、ここで生まれ育ったホタルの乱舞が見られると信じています。苦労もありますが、楽しみながらやっています。

 私たちが進める活動は、決して華やかでも大きな活動でもありませんが、環境保全、自然保護のため、個人が出来ることをコツコツと実践して行く事だと思っています。
 エコロジーの本来の意味が生態学であり、生物と環境との調和を目指すものであるなら、人間と自然とが仲良く付き合っていかねばなりません。CSR以前に、人間として、社会人としての倫理こそが大切です。
 ええことネットでは、緑化推進と空気の清浄化、水問題にも取り組み、地球温暖化防止に些かながら貢献したいと願っています。更に青少年のための体験学習にも波及させて行きたいと願っています。今日拝聴した種々の提案を参考に、更に勉強し、幅広い活動を展開したいと存じます。

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