フィランスロピー研究所 今月のありがとう
フィランスロピー研究所
フィランスロピー研究所 今月のありがとう
2013年6月のありがとう
イメージ画像 介護や難問を前にして、プランC
娘:「お母さんいくつ」
母:「60くらいじゃねえの」
母:鏡見て「誰じゃこのババア」と驚く
娘:「母さんじゃ!」
お互いに大笑いする…

 認知症の母娘のドキュメンタリー「毎日がアルツハイマー」の一齣。
 これは、映画監督関口祐加さんが、母、宏子さんを主人公にした記録映画。
 ここには認知症介護の暗い否定的なものより、堅物でファーストフード嫌いだった人がそこで食事したり、体面を気にする猫かぶりをなくしている、そんな母の新しい姿に、娘が母への距離感を縮め、ある種楽しんで撮っている。

 楽しむという表現は、祐加さんの性格もあるが、監督としての経験が大きいという。
 映画は撮ろうとしていたものが撮れずに、プランAからプランB、プランCへと変更が日常茶飯事に起こる。
 そうした事態を丸ごと受け入れ、その時その時の最適解を選び出す。
 それが監督の役割らしい。
 お母さんの状況がコロコロ変わっても、その状況に合わせてやっていく。
 そのことがお母さんを苦しめず、自分もその状況を生かすことで、明るい介護が実現している。
 介護していると、当たり前のことが当たり前に進行しない。
 これを悩みとか厄介事とせずに、私たちのモノサシに当てはまらない自由人だから、しょうがないと思う。
 いつも母、自分という二人称で考え行動するのではなく、お母さんを客観化して三人称としての見方ができるのも、監督祐加さんが至りついた境地らしい。
 認知症の人々、環境汚染、企業の老化等々のソリューションは、今までの延長上にはないし、あったとしても大したものにもならない。

 今、世の中は、ありきたりのプランAで即OKではなく、プランAの代替案としてのプランBを提案するだけでも駄目だろう。

※プランA、プランBを超えたクリエイションの解
 「プランC」が求められている。
 今、私たちはいろいろな難問の前に立っている。
 プランCが必要である。
 他のプランと比較されようのない、プランCこそ、私たちの進む道であろう。
 それは葛藤や競争などを生むものでなく、多くの人々との新しい協働、異なった集団・組織との連携を創造するものである。
 今年度の第一四半期が過ぎようとしている。
 それぞれがプランCを創造し、第二四半期に突入して欲しい。
 今月もありがとう。

筆者: この号で100号らしいです。
8年以上も綴ってきたかと思うと、感慨深いものがあります。
私ももう一皮剥けて、プランCの達意の文を実現したいものです。
これからもよろしくお願い致します。

井上 健雄

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